経営学部は、同胞商工人達の諸権利を守り経営をサポートする専門家と、新時代のビジネスシーンで活躍する企業家・経営者の育成を目的に、1982年に創設されました。「失われた20年」と言われる日本経済の長期沈滞と「アベノミクス」による格差社会の進展は、同胞たちの経済活動を維持・存続し発展させる上で複雑な問題を提起しています。そんな中、長期的な視点から同胞企業を支援し育成するとともに、世界に広がる民族経済ネットワークの中心に立ち、在日同胞社会の経済的繁栄を主導する人材が求められています。朝大経営学部では、伝統的に経営・会計・経済・法律の4領域からなる学習カリキュラムを編成しており、それらを学ぶ課程で、広い視野、深い思考力、確かな専門知識、豊かな人間性を養います。卒業後は、日本全国の朝鮮商工会、信用組合、金剛保険、貿易商社、同胞企業、優良な日本企業や外資系企業へと羽ばたいていきます。また、公認会計士、税理士、中小企業診断士、司法書士、行政書士、社会保険労務士、ファイナンシャルプランナーのような経済経営専門の有資格者たちや研究者、さらには経済誌記者やプロスポーツ選手まで、幅広い分野の人材を輩出しています。
経済分野
経済学は、富の生産・分配・交換・消費という経済に関する様々な現象を研究し、経済現象の背景を貫く諸法則を明らかにする学問です。たとえば、なぜ景気が変動するのか、失業者が増え所得格差が広がる理由はどこにあるのか、金利と株価、為替レートにはどのような関係があるのかなどの経済問題や、私たちの生活と密接に関連した事柄とその背景を体系的に学びます。経営学部では、経済の基礎理論や社会制度、経済の歴史に関する諸科目を中心に経済学を学ぶことで、現代経済の基本メカニズムと現状について分析する能力を備え、経済問題について自分の頭で考えて議論し答えを導き出す能力を育てます。
会計分野
会計とは一言でいうと、企業活動で欠かすことのできない「おカネ」の計算のこと。「モノ」の仕入れや「ヒト」の雇用など全ての企業活動を貨幣単位に換算し評価することで、企業の健康状態を把握し、今後の指針を示します。「ビジネスの言語」ともいわれる会計知識は、ビジネスマンに必要不可欠なスキルです。近年の情報化・国際化の中、会計のプロである公認会計士や税理士など専門職のニーズが高まっています。経営学部では1,2年次に会計の基礎となる簿記論と工業簿記を集中的に修得し、日商簿記2級合格を目指します。また財務会計論、税務会計論、管理会計論などを学ぶことで、日商簿記1 級、税理士・公認会計士のような企業会計のスペシャリストを育てます。
経営分野
経営とは、組織体が目的をもって継続的・計画的に行う事業・活動のことをいいます。日常的に利用する店舗や企業がきちんと経営されることで初めて人びとの利用が可能となることから、私たちの生活は経営なくして成り立ちません。また、企業ばかりではなく行政機関、学校、病院、劇場など社会生活の広い領域にわたって経営活動が行われています。経営学は、これらを理論とケーススタディの両面から体系的に学ぶ実践的な学問です。経営学部では、「ヒト・モノ・カネ・情報」を活用するための中心理論である経営管理論をはじめ、企業が直面するさまざまな経営問題を学びます。1、2 年次には経営学の基礎、3、4 年次には、戦略、組織、マーケティング、労務、財務といった経営の諸側面について学び、思考力溢れるビジネスマンを養成します。
法律分野
法律とは、社会秩序を守るために国家などが定めた規範のことです。社会生活と法律は不可分の関係にあり、法律を守ることで自分自身の財産や権利も守られ、それらを活用することも可能になります。「なぜそのような法律があるのか」「どのようにしてその法律ができたのか」さらには「法律をどのように解釈すればよいか」と踏み込んで考えることが、法律を「真に学ぶこと」なのです。経営学部では、公法系・民事法系・企業関係法系の諸科目(憲法、刑法、民法、会社法等)を体系的に学び、法律・法制度等についての深い理解と法的思考力を培うことで、経済・経営活動に必須の実践的な知識を身につけます。
学部独自の教育内容:専門課程につながるしっかりとした基礎指導
経営学部では、あらゆる環境変化に対応できる優れた問題発見・解決能力を育てるために、少人数教育、社会実践型教育に取り組んでいます。
3年次からの専門課程ゼミに先立ち、少人数による基礎指導を通して、「数字力」「読解力」「実践力」「発信力」「専門的文章力」など、学生たちの水準とニーズにあわせた丁寧で多様な少人数指導を行い、大学在学時に経済経営専門家としての資質を身につけるための基礎的素養を育みます。
簿記論演習・夜間補習(1年次・必修)-「数字力」
簿記の原理とそこから導き出される数字は世界共通のビジネス言語。1年次には「簿記論」講義に加え、「簿記論演習」で学んだ箇所をすぐにトレーニング。資格試験直前期には全寮制の利を最大限に活かし、夜間の集中的な補習で資格取得100%を目指します。簿記は習うより慣れろ。徹底的な反復練習の通称「簿記特訓」で養われる簿記の基礎とセンスは、まさに21世紀に必須のグローバルスキル=「数字力」となります。
基礎演習(1年次・必修)-「読解力」・「実践力」
本演習で目指す「読解力」とは、文章の理解や内容把握にとどまらず、共同学習とディスカッションを通して、問題解決の糸口を探り出し実践へと移すための「問題を読み解く」基礎的能力のことです。また、「実践力」とは、企画立案した事案を実践過程で検証し修正・改善していく能力(PDCAサイクル)のこと。
本演習では、大学での専攻研究の準備段階として、目的に合った書籍や文献を検索、通読し議論することで、常識にとらわれない独自の視点で物事の本質を捉えるための訓練を行います。また、自らの提案した企画の実践を通じて、現実の問題を乗り越える実践的方法論を学びます。
専門基礎演習(2年次・選択)-「文章力」「プレゼン力」
高いレベルを目指す学生が自主的に選択できる本演習では、基礎学習と経済・経営・会計の専門研究を橋渡しする重要な役割を担います。本演習のコンセプトはズバリ「文章力」と「プレゼン力」。文献を読みこなし、テーマに則した研究レポートを執筆・報告していく過程で、経済経営分野における分析力、文章構築力、発表能力を磨きます。そこで培われる能力は、試行錯誤の末に得られた知見を文章で表現し、社会的に広く発信していくための、強力なコミュニケーションツールとなります。
■ 学生たちの研究と実践
◆研究
学生たちは3年次から各専攻ゼミナールに属し、より高度なテーマに沿った学習を行います。経営学部では、3分野8つの専攻ゼミナールから、自身の志向と関心に基づいた演習授業を選択できます。ゼミナールでは、文献による学習ばかりではなく、フィールドワークやゼミ合宿などさまざまな機会を設けて、各自固有の研究を深めています。学生たちはゼミでの学習の成果を卒業論文にまとめ報告します。
◆実践
経営学部では、さまざまな学習が実際の現場で活かされるよう、学習と実践の融合を心がけています。社会実習は学生の習熟度を確かめ、新たな課題を見つけるとても大切な場となっています。また、実際に各種業界で活躍しているビジネスパーソンを講師として招き、業界の最新トレンドや必要スキルを確認できる「同胞経済研究」など、実践を意識した科目も多く取り入れています。
■奨励資格・取得実績
税理士 19名
行政書士 10名
社会保険労務士 6名
中小企業診断士 5名
公認会計士 2名
司法書士 2名
米国公認会計士 1名
宅建士(宅地建物取引士) 多数
ファイナンシャルプランナー 多数
■経営学部カリキュラム
朝鮮現代史1,2 |
植民地下の朝鮮 |
東アジア史の中の朝鮮 |
朝鮮科学文化史 |
現代朝鮮研究 |
現代朝鮮文学 |
朝鮮チャンダン |
朝鮮の食文化 |
近代朝鮮哲学思想史 |
哲学 |
在日朝鮮人問題概論 |
実用朝鮮語1,2 |
朝鮮語基礎1,2 |
英語 |
英語会話 |
英語講読A,B |
ビジネス英語基礎A,B |
上級英語A,B |
日本語現代文精読 |
中国語基礎1,2 |
中国語演習1,2 |
メディア批評 |
保健体育 |
情報処理 |
実用統計学 |
現代企業論 |
経営学 |
マネジメント特講 |
経営戦略論 |
経営組織論 |
中小企業論 |
財務管理論 |
企業金融論 |
マーケティング論 |
労務管理論 |
経営史 |
経営分析論 |
環境経営学 |
ベンチャー企業論 |
簿記論1,2 |
工業簿記論 |
財務会計論 |
管理会計論 |
税務会計論A,B |
政治経済学1,2 |
マクロ経済学 |
ミクロ経済学 |
経済学説史 |
近代経済学史 |
経済統計学 |
金融論 |
国際金融論 |
朝鮮経済論1,2 |
世界経済論 |
日本経済論 |
法学概論 |
民法総則・物権 |
民法債権 |
会社法 |
同胞経済研究 |
同胞企業研究 |
外書講読1,2 |
簿記演習1,2 |
経営基礎演習A,B |
会計基礎演習A,B |
経済基礎演習A,B |
経営戦略論演習1,2 |
中小企業論演習1,2 |
財務管理論演習1,2 |
マーケティング論演習1,2 |
管理会計論演習1,2 |
経済理論演習1,2 |
朝鮮経済論演習1,2 |
金融論演習1,2 |
経済統計学演習1,2 |
卒業研究 |
歴史実習 |
経済機関実習 |
短期研修 |