カリキュラム構成の目的と特徴

cp_01こんにち大学生に専門知識の高さと同じくらいに求められているのが、その知識や技能を、現実世界や具体的な人間関係の中でいかに実践的に生かせるか、他者と知識や価値観を共有し、かつ共同していけるかということまでも含めた能力です。
朝鮮大学校は、より高い専門教育を目指しながらも、こうした総合的な能力を養う目的でカリキュラムが構成されており、専門知識への橋渡しとなる基礎教育や基礎演習に力を注いでいます。一方、在日朝鮮人としての自己認識をゆたかに保持するための独自の民族科目が特徴であり、そして世界と人間にかかわる幅広い知識と教養を兼ね備えるための一般科目・教養科目が充実しています。また何より、全寮制という条件をフルに活かした、集団生活と集団活動、実習や研修、各種セミナーをはじめ多種多様な活動と体験を通じ、学んだ知識を他者と共有しともに実践していける環境がおのずから整えられています。言いかえれば、集団生活およびさまざまな体験と活動は、学問にとりくむ意欲と目的意識をより明確にさせる土台であり、本学はこうした「学び」と「学び合い」にあふれた環境を有しています。

専門知識+民族性と教養+活動・体験・人間関係

カリキュラム

2004年度から導入された単位制に加えて、少人数制の授業やゼミナール形式の演習を充実させることによって、学生のレベルに合わせた細心の指導を行っています。また、上級者向けの朝鮮語、日本語、英語などの語学コースを設け、学生が自由に受講できるようにしています。さらに、朝鮮の文化と歴史、朝鮮舞踊(一部)など独自の民族科目や情報処理技術向上のための科目も取り入れています。
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初年度教育強化

大学生として学ぶため身につけておくべき学問観や学習方法などを、初年度時に徹底するカリキュラムを組んで実施しています。学部学科ごと「基礎演習」科目を設置しているほかにも、学生のレベルに合わせて基礎学力や高校課程までの学修内容の復習や、個別・集団補習によるサポートで、大学生としての学力の土台を築くことに努めています。

全寮制の集団生活・コミュニケーション力

本学は創立当初から全寮制を敷いてきました。これは、共同生活の中で個々人を真に鍛えようとする本学の教育理念によるものです。日本全国から集まった学生たちは、共同生活の中で助け合い友情を育むと同時に、コミュニケーション能力も日常的に高めていきます。

母国語&多言語教育

cp_03民族教育の最高学府である本学は、何より朝鮮語のゆたかな教養を備えるとともに、語学として専門的に学び朝鮮語のエキスパートを育成するカリキュラムを実施しています。また英語、日本語の素養を高めるとともに、昨年度より全4年制学部生は中国語も選択して受講できるようになっています。

朝鮮語教育を通じゆたかな民族性を備えるとともに、マルチリンガルとしての十分な可能性も見すえ、外国語教育に力を入れています。

カリキュラムの再編・拡充へ(2017年度より一部導入)

本学では、多様化する同胞社会及び学生からのニーズに応えるべく、各学部学科のカリキュラムを改編し、より専門性と実践性を高める学修プログラムの充実に取り組んでいます。

2017学年度より一部改編されたカリキュラムを実施し、今後選択科目の多岐化、学部学科横断科目の開設、ハイレベル・クラスの設置、より学生たちに寄り添った授業方法などを導入することにより、一層学生たちの能動的学修を促しつつ、時代のニーズに合ったカリキュラムの拡充に努めていきます。

朝鮮文化・歴史

本学は、過去の植民地時代に朝鮮半島から連れてこられ、苦難の生活を強いられた同胞の足跡をたどる歴史実習を毎年行っています。参加学年は学部によって異なります。

学生は、在日同胞のルーツをたどる集中講義を受けたり、多様なテーマに沿ったレポートをまとめ研究発表を行ったりします。また、植民地時代の強制連行の跡地や関東大震災当時の同胞被殺現場があった埼玉や栃木、長野などの地域を訪ね、在日朝鮮人の歴史を直接見聞きします。現地では、在日朝鮮人歴史研究者の講義を受け、また在日1世の同胞から直接体験談を聞くこともできます。この実習を通じ、学生たちは自分のルーツについて再認識し、これからの在日朝鮮人社会の未来について考えます。

祖国短期研修

本学は学部(教育学部は学科)別に、祖国で短期研修を行います。研修の時期や期間、実施学年、プログラムの内容(実習地、研修内容)などは、学部によって異なります。学生は主に朝鮮語研修や各種専門実習、祖国の大学生との交流などを行います。また研修期間中、ピョンヤン市内や各地の景勝地の観光、登山や海水浴など、祖国の自然とも親しんでいます。祖国での短期研修を通じ、学生たちは一生の思い出を得るとともに、豊かな民族的素養と専門知識を身につけます。

実習・社会活動

本学の学生によって作られた同胞障がい者支援活動の拠点ともいえるボランティア組織が「TUTTI」です。「TUTTI」は、主に音楽を通じた本学学生と障がいを持つ子供の遊びの場、交流の場です。障がいを持つ子供は、学生と楽器を演奏したり、一緒に遊んだりする過程で民族的情緒と自負を抱くようになります。
学生たちはこの活動に自発的に参加することによって、障がいを持つ子供たちと互いに手を取りながらコミュニケートする力をつけるとともに、より豊かな人生観を養ううえで貴重な機会を得ています。この活動を通じて学生と障がいを持つ子供との間には真の友情が芽生え、同胞愛が育まれていきます。また本学の学生は、総聯の傘下団体がおこなっている同胞家族の育児支援活動を積極的にサポートしています。
保育科と演劇部の学生は、「ウリウリコッポンオリ」のコンサートに出演するために日本全国を飛びまわっています。また教育学科の学生は、毎年「トトリカ教室」を開き朝鮮学校初級部の子供たちに科学や実験の楽しさを教えています。サッカー部も「サッカー教室」を開設し、大学を訪れる初級部の学生にサッカー指導を行っています。
学生たちは、この他にも各地域で行われている「児童教室」、「プンムルノリ(民族打楽器)教室」の講師として出演するなど多彩な活動をくり広げています。